近年、Amazonや楽天市場などのECサイトサイトの普及により、家に居ながら商品を注文して自宅まで届けてくれるというサービスが定着し、とても便利な時代になりました。このサービスは一軒家はもちろんですが、タワーマンションや大型マンションでも玄関先まで届けてくれるので、特にお年寄りの方や体の不自由な方などは非常に助かりますよね。
ただ、タワーマンションに住んでいる方のなかで、
- 『お届け予定日に届かなかった』
- 『時間指定したのに時間内に来なかった』
- 『マンションのエントランスでインターホンが鳴らされてから30分以上待ってもまだ来ない』
- 『インターホンを鳴らさずにマンションの宅配ボックスに勝手に入れられた』
といった経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、実際に数多くのタワーマンションで荷物を配達してきた私が感じた、タワマンの配達が大変な理由をご紹介させていただきたいと思います。
実際にタワマンに住んでいる方や管理人の方などに現状を知っていただきたいと思っておりますのでぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです!
タワマン配達がキツイ理由
① 荷捌き場(敷地内に車を停める場所)が無い
私が過去、実際に配達で行ったタワマンのほとんどで荷捌き場が無く、敷地内に車を停めようとしてもすぐに警備員に追い出されるような状況でした。
管理人や警備員に車をどこに停めたら良いか聞くと、路上駐車するか近くのコインパーキングにでも停めて下さいと言われることが日常茶飯事でした。当然コインパーキングはお金がかかり、基本的に自腹になります。また、路上駐車して配達する際は駐車違反の切符を切られるリスクがあり、配達中は気が気でありません。
実際に私は千葉県内のタワーマンションで配達する際、近隣にコインパーキングも無かったので渋々、路上駐車したのですが、配達を終えて車に戻ると駐禁の紙が貼られており、15000円の罰金を命じられました。その日の業務の案件は日当17000円だったのですが、ガソリン代を差し引くと実質タダ働きになってしまいました…
② 防災センターなどで受付をしなければならない
タワマンのほとんどでは宅配業者などは配達を開始する前に、防災センターなどに行き、受付をしなければなりません。具体的には要件や名前、会社名、電話番号、配達先の部屋番号、入館時間などを記入して、吊り下げ用の名札を首にかけなければなりません。他の宅配業者とタイミングが重なった場合は受付の順番待ちという事も頻繁にあり、大きな時間のロスになってしまいます。
③ 最後にインターホンを鳴らした階しかエレベーターが止まらない
タワマンによっては、セキュリティー上の対策だと思われますが、最後にインターホンを鳴らしてオートロックを開けてもらった階にしかエレベーターが止まらないシステムになっているタワマンが近年増加しております。
業者によっても異なりますが、多くの宅配業者がタワマンに配達を行う際は、お届け先が1戸だけでなく、15〜40戸になる事が多いので、出来れば1度にインターホンを全て鳴らしてからエレベーターを登って、上層階から順番に荷物を配りたいのですが、このシステムのタワマンだと1戸配達するごとに毎回1階まで降りて、インターホンを鳴らさなければならなくなり、大幅な時間ロスになります。
④ エレベーター待ちの時間が長すぎる
高層マンションなので当然と言われればそれまでなのですが、タワマンは特にエレベーターが全然来ないので、時間指定などで急ぎたいのにひたすら待ち時間が長いという精神的に辛くなる状況に追い込まれてしまいます。
また、タワマンは基本的に住人用のエレベーターの使用は禁止されており、業者用のエレベーターを使うことになるのですが、エレベーターは1つしかないので他の宅配業者や引越し業者なども同じエレベーターを使うため、数分待ってようやく来たエレベーターでも他の業者の方や荷物の載った台車でいっぱいになってる際には乗る事ができずに再度待つという事もあります。
⑤台車禁止
一部のタワマンでは床や壁が傷んでしまうという理由で台車の使用を禁止している所があります。私が以前配達で行ったタワマンでは、管理人の方に『台車で入らないで』言われた事があります。その時は季節が真夏という事もあり、飲料のケースが13箱あったのですが、さすがに台車無しでは配達できないので、配達拒否をして持ち帰ろうとしたのですが、その際に管理人の方が来て、嫌々台車の使用の許可を出されて配達をした事もありました。
⑥ タワマン側での置き配禁止
お客さん側が玄関前での置き配を希望しているにも関わらず、タワマン側が置き配を禁止している所もあります。管理人の方に理由を聞いて、私は思わず笑ってしまったのですが、見栄えが悪いからだそうです。この場合は1戸ずつインターホンを鳴らして、不在の場合は宅配ボックスという流れになりますが、置き配禁止のマンションなので宅配ボックスもすぐに埋まってしまうため、結果再配達になってしまいます。
⑦ 宅配ボックスが少なすぎる
インターホンを鳴らして不在だった場合は荷物を宅配ボックスに入れるのですが、その宅配ボックスが一つも空いてない事が多々あり、全て再配達という事になります。その際は一軒ずつ不在票を記入するため大幅なタイムロスとなってしまいます。
この原因は総戸数に対して宅配ボックスの数が少なすぎるためです。そのため宅配業者は宅配ボックスが埋まってしまう前に朝イチでタワマンに行き、宅配ボックスの争奪戦が日々行われています。
タワマンの配達の問題を解決するには
① タワマン設計段階での宅配業者への配慮
具体的な対策の前に、まずはマンションを設計する段階での話になってしまいますが、もう少し住人だけでなく宅配業者が出入りするする事を重視していただきたいですね。業者用駐車スペースの確保や業者用のエレベーターを2基以上作るなどの宅配業者への配慮が欲しいと感じました。
② 宅配ボックスの増設
現代ではECサイトの普及により、家族の方が複数人注文する事も多く1戸に対して宅配ボックスが1個でも足りない状態なので、現状は総戸数に対しての宅配ボックスの数が圧倒的に足りておりません。宅配ボックスが数多くあれば、再配達も減り、住人の方も素早く荷物を好きなタイミングで受け取る事ができます。
③ コンシェルジュの方が荷物を一括受け取りをする
高級タワマンなどではコンシェルジュが常駐しており、そのコンシェルジュの方が荷物を一旦受け取り、各部屋まで届けていただく事が可能であれば配達員にとってはこれ以上ありがたい事は無いですね。
私は以前とある大企業の社員寮に配達を行った際に、荷物が全部で40個程あり憂鬱だったのですが、荷物は入り口に常駐している管理人が一括で受け取ってくださり、5分程で配達が完了した事がありました。これがタワマンであれば1〜2時間位はかかるのでとても感激しました。色々な問題点はあると思いますが、タワマンでもコンシェルジュが一括で受け取ってくださると非常に助かります。
④ 宅配用のロボットの導入
一部の企業では既に実験も開始されているようですが、荷物を配達員が所定の場所に置き、それ以降は各部屋までロボットが届けるというシステムがあると、配達員の負担の軽減になり、住人の方も感染症対策としての非対面での荷物の受け取りも可能になります。まだ現状はロボットがエレベーターにどう対応するかなどの問題は多くありますが実現すると非常に助かりますよね。
まとめ
以上ここまでタワマン配達の問題点と今後の改善点についてご紹介させていただきました。
マンションなので、まず住人が最優先で考えらるのは当然ではありますが、もう少しだけ宅配業者などへの配慮があると、配達する我々側もストレスなく快適に荷物をお客様へお届けできるはずです。
現代はECサイトの普及によって宅配業者はなくてはならない存在ですので、マンションの設計の方や建設業者、管理人、宅配業者、そして住人の方が協力し合い、全員が気持ちよく、便利な生活をお互いに支え合っていけるようになってほしいと心から願っております。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!